ブロック塀診断
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安全な街づくりのために──ブロック塀診断の重要性
2018年6月に発生した大阪北部地震では、ブロック塀の倒壊によって尊い命が奪われるという悲しい事故が起こりました。この出来事をきっかけに、ブロック塀の安全性に対する関心が急速に高まりました。
そもそも日本は、地震などの自然災害が多発する国です。戦後、住宅の普及とともに多くの家庭で設置されたブロック塀は、防犯や目隠し、防風・防火といった役割を担ってきました。しかし、老朽化や不適切な施工によって、倒壊リスクを抱える塀も少なくありません。
このような背景から、建築基準法の改定や耐震改修を促進する法整備が進み、ブロック塀の安全性を見直す取り組みが全国で行われています。
専門的な診断と技術者の役割
公益社団法人日本エクステリア建設業協会(JPEX)では、ブロック塀の安全確認を専門に行う「ブロック塀診断士」制度を創設。その下部組織である福井県エクステリア協会も、地域密着型の支援体制でこの課題に積極的に取り組んでいます。
ブロック塀診断とは?
日常の中で、異常に高い塀やひび割れた古い塀を見かけたことはありませんか? こうした塀は、大地震の際に倒壊の危険性があり、人や建物、車両に被害を及ぼす可能性があります。特に通学路などでは、小さな子どもたちが巻き込まれるリスクもあります。
また、危険なブロック塀を放置したまま事故が起こると、所有者に責任が及ぶこともあります。
中京エクステリア協会では、ブロック塀の安全性に不安がある方からのご相談を受け付けており、資格を持った「ブロック塀診断士」が現地を訪問し、塀の状態を適切な方法で診断いたします。
診断の種類と流れ
診断の流れ
ブロック塀診断は、資格を持つ診断士が現場に出向いて実施します。診断では構造や施工状態、劣化の有無を確認し、安全性を評価します。
ブロック塀診断にかかる費用について
ブロック塀の診断については、公益社団法人日本エクステリア建設業協会が定める基準料金を参考に、各診断士が対応いたします。下記は目安となる基本料金です。実際の費用は診断士と事前にご確認ください。
基本料金(税抜)
| 基本診断料 | 塀の長さが10m未満、かつ高さが1.2m未満の場合:15,000円 |
|---|---|
| 追加料金 | 以下の条件に該当する場合は、追加料金が発生します。 ・長さが10mを超える場合、10mごとに:5,000円 ・高さが1.2m以上2.2m未満の場合:基本料の50%増し ・長さが100m以上または高さが2.2m以上の場合:別途お見積り |
| 診断書発行料 | 1通あたり:1,000円 |
※交通費・出張料は、診断の際に別途ご相談となります。 診断の対象となる「塀」は、フェンス等を含む外構の構造物を指します。 表示価格はすべて税抜です。価格は変更となる場合がありますので、予めご了承ください。
精密ブロック塀診断(二次診断)
ご自宅や周囲のブロック塀に不安を感じた際は、専門のブロック塀診断士による精密診断をご依頼ください。セルフチェックでは見落としがちな構造面や劣化状態について、より正確な診断を行います。
精密診断の主な内容
| 形状・仕様の確認 | ブロック塀の高さ、厚さ、構造的な特徴を調査します。 |
|---|---|
| 傾きの測定 | 水準器などを使い、塀の傾き具合を数値で把握します。 |
| クラック(ひび割れ)の確認 | 細かなクラックも注意深く確認。雨水の浸入による鉄筋の腐食や構造劣化が疑われる場合は、要注意です。 |
| 塗装の下に隠れた劣化の調査 | 外見がきれいでも、内部のブロックや鉄筋が傷んでいるケースがあります。表面の状態から内部の異常を見抜きます。 |
| 露出した鉄筋の確認 | 鉄筋が表面に露出している状態は、構造的に非常に危険です。補修または撤去が必要となる場合もあります。 |
| フェンス柱付近の 沈下チェック |
フェンス支柱の周辺にひび割れが生じている場合、地盤の沈下など構造的な問題が起きている可能性があります。 |
| 鉄筋の配置状況を 専用機器で調査 |
レーダー等を用いて内部の鉄筋の有無や位置を確認。基準に沿った施工がされているかを調べます。 ※古い塀では鉄筋の本数が少なかったり、まったく入っていない例も見られます。 |
調査内容は後日、診断書として文書化し提出いたします。必要に応じて補修・改修のご提案も行いますので、ご安心ください。
危険なブロック塀の特徴
このような塀は、特に地震時に危険です。見かけた場合は、専門家の診断をおすすめします。
- 基礎がない、または劣化している
- 高さが高すぎる(基準値超過)
- 鉄筋が入っていない「無筋構造」
- 連続した透かしブロックの使用
- クラック(ひび)が多数ある
診断後の対応
診断の結果を記載した報告書(カルテ)には、今後の対応を判断するための大切な情報が詰まっています。不安になる内容が含まれていることもありますが、目をそらさずしっかりと確認し、適切な対策を検討することが大切です。
解体・撤去の必要がある場合
診断により「倒壊の危険あり」と判断された場合は、できるだけ早い対応が求められます。地震はいつ起こるか分かりません。対応が遅れたことで被害が発生し、所有者の責任が問われるケースもあります。
解体・撤去工事には、ブロック塀に関する知識や技術が必要です。経験豊富な施工業者にご相談ください。また、お住まいの自治体によっては、撤去費用の一部を補助する制度がある場合もあります。事前に自治体窓口へ確認しておくと安心です。
補修・補強という選択肢
撤去が難しい、または費用がかさむ場合には、「補強工事」という手段もあります。例えば、控え壁の設置や金物補強によって、倒壊リスクを軽減することが可能です。
補強により、万が一地震が発生した場合でも、崩れるまでの猶予時間が確保できれば、人身被害を防げる可能性が高まります。
新しい塀への取り替え(再構築)
古い塀を撤去した後、新たに設置し直すことで、景観や機能性、安全性を確保することができます。
| 基準に準拠したブロック塀 | 正しい設計と施工を行えば、ブロック塀は非常に耐久性のある構造物となります。専門家による施工で、より安全な住環境を整えましょう。 |
|---|---|
| アルミフェンスや板塀 | 視線を遮る目的であれば、軽量でデザイン性にも優れたアルミ製フェンスなどもおすすめです。通気性や採光性にも優れ、メンテナンス性も良好です。 |
| 乾式施工の軽量塀 | 近年は、モルタルを使わずにパーツを組み上げる「乾式工法」による塀も普及しています。揺れに強く、施工もスピーディーで、デザインの選択肢も豊富です。 |
| 生垣(グリーンフェンス) | 昔ながらの緑の塀も根強い人気があります。成長とともに目隠し効果が高まり、自然な雰囲気を演出できます。日々の手入れが必要ですが、その過程も暮らしの楽しみに繋がるでしょう。 |
塀の種類や施工方法は多岐にわたります。それぞれにメリット・デメリットがありますので、ご自身だけで判断せず、エクステリアや造園の専門家にご相談ください。ご希望や敷地条件に応じて、最適なプランをご提案いたします。
各自治体の補助制度について
福井県内の多くの市町村では、ブロック塀の撤去や改修に対する補助金制度を設けています。詳しくは各自治体の公式情報をご確認いただくか、当協会までお問い合わせください。
ご相談・お問い合わせ
ブロック塀の安全に不安を感じたら、まずはご相談ください。
